top of page
  • 執筆者の写真桜井 夏来

認知症になっても安心して暮らせる場所の確保を

 私たちが人の定めとしての終末期に向き合っていく上で、認知症についての取り組みは避けて通れない課題です。我が国では高齢化の進展とともに認知症の人も増加し、65歳以上の高齢者では7人に1人程度が症状を抱えているとされています。年齢を重ねるほど発症する可能性が高まるため、今後も認知症の人は増え続けると予想されています。

こうした状況に対して、現在の介護保険の制度の下では、必ずしも充分なケアの体制が確保されていません。特別養護老人ホームは原則として要介護3以上の人しか入れず、身体的に軽度の認知症の方は入れません。

 また、そうした制度の隙間を埋めるために、武蔵野市内で認知症の人の受け入れをしてきたNPOの団体(デイサービス、ショートステイ)が、近年2カ所事業をやめてしまうなど、介護事業者が置かれている財政的な状況や人員確保の厳しさにも深刻なものがあります。結果として、認知症のグループホームは増えておらず、行き場所を失った認知症の方を、受最終的には精神病院が受け皿となって引き受けている現実があります。

 今後団塊の世代が高齢化し、コロナ禍の影響など合わせて考えると認知症の方がさらに増えると予想されます。精神病院ではなく、その人らしい生活を支える場所が、もっと必要です。人が老いていく過程において、認知症を発症することは不自然なことでも、恥ずべきことでもありません。社会全体が認知症への理解を深め、最期までともに生きていける環境を整えていかなければなりません。認知症対応のグループホームの整備が急務です。


閲覧数:24回0件のコメント

最新記事

すべて表示

多様な国籍の市民がともに暮らすまち、武蔵野へ

武蔵野市では、外国籍の住民の数は少しずつ増えています。それに伴って、外国籍の子どもの数も少しずつ増えており、この傾向は今後も続く見通しです。 「国際交流」というと少し言葉が硬いと感じますが、大事なことは、日本人の子どもも外国籍の子どもも一緒に育つ中で、お互いを知っていくことだと思います。障がいのある子どももそうですが、子どもの頃から一緒に育ち、遊び、学んでいく事で、大人になっても分け隔てなく一緒に

「男女平等に関する意識調査」から見えてくること

今年度は武蔵野市第五次男女平等推進計画の策定をする大事な年となります。そのために市は昨年度、現状を把握するため「男女平等に関する市民の意識調査」を実施しました。 男女平等に関する意識調査(令和4年度)(武蔵野市ホームページ) その結果を見ると、日常生活については、育児への従事の平均時間は女性「8時間以上」が27.1%と最も多く、男性は「1時間未満」と「1~2時間未満」がともに29.9%となっていま

TOPへ
bottom of page